Wind of Emotionリハビリショート
管理者 吉野 那美

「うれしかった。ありがとう。」Glad. Thank you.

その日、フロアにはお泊まりの方がすべて出て来られ、ご利用者同士で話をされたり脳トレプリントなどをされていました。

そろそろ時間だと夕食の準備を始めようとし、近くにおられた家事動作が好きなご利用者に「一緒にしてもらえませんか?」と声を掛けると快く引き受けてくださいました。近くにいたご利用者からも「じゃあ私も!」と声が上がり、全員で夕食の準備をしようという流れになりました。

Aさんは食事の盛り付け、Bさんはテーブル拭き、Cさんはコップ洗いなど皆さま積極的に取り組まれ、その中で進行性核上性麻痺のDさん(男性)と目が合いました。Dさんは病気の進行とともに言葉で意思を伝えることが難しくなっていました。目が合った時、「Dさんも一緒に手伝ってもらえますか?」と食事用のタオル畳みをお願いしました。男性のDさんに家事活動などどうかな?と思いましたが、ゆっくりと頷かれタオルをゆっくりと畳まれました。夕食の準備が終わるとDさんが手招きをされ「どうされましたか?」と伺うとコミュニケーションボードを示し、「手伝いができてうれしかった」と伝えてくださいました。

ゆっくり話を聞くと、ご自身の中でできないことが増えてこられ「気持ちが落ち込んでいたが、ショートの中で自分のできることがあってうれしかった。ありがとう」と言われました。ご本人の思いに気づけなかった私自身はやるせない気持ちと本人の想いを知ることができたことでより深くDさんへの感謝が込み上げてきました。「こちらこそありがとうございました。またお願いしてもいいですか」と伝えると笑顔で頷いて下さいました。

私自身の心が大きく動いた瞬間でした。

2023年10月/株式会社QOLサービス
ありがとうリハビリショート
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吉野 那美